本『トリニティ』窪 美澄
イラストレーター・ライター・専業主婦という三人を通して、昭和という時代や女性の生き方や勢いのあった雑誌業界を描いたお話。
フィクションのていを取っていますが、ログストア=マガジンハウス、妙子=大橋歩、登紀子=三宅菊子というモデルがいます。
フリーの女性ライターや、ananという新しい雑誌の誕生など、輝かしい時代の様子がとても眩しく感じました。
直木賞候補になったけど、現存するモデルさんもいらして、過去のものとして捉えるには早すぎるという意見があったそう。
窪美澄さんはデビュー作で映画化もされた『ふがいない僕は空を見た』から、エモーショナルで心の柔らかいところをグッと掴んでくる素晴らしい作家さんですが、今回は実在するモデルや実際にあった事件ありきだったせいもあり、登場人物に対する踏み込みがいつもより弱い気もしました。 思うままいじくり倒す加減をされているというか… でもこれからも新作の発表が楽しみな作家さんです。